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顎がガクガク なんで?治るの?

みなさんこんにちは。9月になりましたがまだまだ暑い日が続きますね。
今日は顎関節症についてお話ししたいと思います。

●顎関節症って?

顎関節症とは、口を開け閉めするときに、顎の関節で音がする、口が開けにくい、あごが痛いなどの症状がみられる病気ことをいいます。実は、顎関節症はそれほど珍しいものではなく、2人に1人程度の割合で経験するともいわれる非常にありふれた病気です。



●顎関節症の種類

一口に顎関節症といってもいろいろな種類があります。
ではタイプ別にどういったものか詳しく見ていきましょう。

①筋肉痛型
顎関節自体には問題がありません。歯ぎしりやくいしばりにより、咬んだり、口を動かしたりする関節周辺の筋肉のバランスが崩れ、炎症が起きる顎関節症です。

・口を開け閉めすると頬のあたりが痛む。
・片頭痛がする。頬がだるい、重い。頬が腫れぼったい。顔がゆがむ。
などの症状があるとこのタイプかもしれません。

咬む筋肉の筋肉痛が原因ですので、症状を改善させるためには、まずマッサージなどで筋肉をほぐすことが大切です。

②関節痛型
関節には、骨のほかに軟骨や靭帯、関節包といった様々な組織があります。そうした組織に無理な力がかかって関節に炎症が起こるのがこのタイプです。

我慢すれば口は開けられるけど、口を開けると耳の穴のすぐ前あたりが痛いといった症状が現れます。ただ、筋肉痛型とちがい、関節の炎症が起きて痛みが出ているため、あごを安静に休める必要があります。無理に動かすと炎症が増し、関節の動く範囲が小さくなって、口が開きにくくなってしまいます。

③クッション位置ずれ型


上下のあごの骨の間には関節円板(イラストの水色の部分)と呼ばれるクッションの役割をもつ組織があります。関節円板は、正常な顎関節では、口を開ける動作に応じてスムーズに動きます。

ところが、このクッション位置がずれてしまうと、
・口を開けるとポキポキ鳴る、顎がガクガクする
・口を開けようとしてもうまく開けられない、口が開かない
・大きく開けようとすると痛い
といった症状が出てきます。

音が鳴るだけであれば、特に治療せず経過をみることが多いです。引っかかりが起きて口の開け閉めが難しい場合は、次の④の型に移行することもあるため、医療機関で定期的な検査を受診しましょう。

④骨の変形型
関節円板が前にずれ、さらに加齢などにより軟骨が薄くなると、関節内で上下の骨が直接当たるようになり、やがて骨が変形していく変形性顎関節症を引き起こします。

関節円板がずれてクッションがないため、口を開ける時に引っ掛かりや痛みが起こります。また、上下の骨がこすれて、ザラザラとした音が鳴ることもあります。軟骨は女性ホルモンの影響を受けるため、ホルモン量が低下する中高年の方によく見られるタイプです。


●自宅で出来る顎関節症対策

・生活習慣の改善
顎に負担がかかる食生活(硬いものを食べる、大口を開ける、長時間の咀嚼等)・歯を食いしばるクセ・左右どちらかだけでものを噛むクセ・頬杖をつくなど、顎関節症の原因になる生活習慣を改善するよう心がけます。

・筋肉マッサージ(筋肉痛型)
①人差し指と中指を傷みのあるところに当てます。側頭筋ならこめかみあたり、咬筋なら頬と耳の間です。

②ゆっくりと円を描くように指を動かし、筋肉をほぐします。痛気持ちいと感じるくらいがベストな押し具合です。

・開口ストレッチ
①こめかみに手を添え、あごを右、左と動かします。
②下あごを前に突き出します。
③口を大きく開けます

これらを1日3~5セット(1セット10回)行います。続けることによって効果が現れます。ただし、顎関節に炎症が起きて痛みがひどい場合は、逆効果になるので、炎症が落ち着くまで安静な状態を保ちましょう。


●歯科医院での顎関節治療

歯科医院で行う治療は、軽度の場合は生活習慣の改善を指導し、経過をみます。改善が見られなかったり、ひどくなったりする場合は、顎関節や周囲の筋肉の負担を軽減するためにマウスピースを用いたり、低周波、レーザー照射、薬物治療、注射治療なども行います。あまりに状態が悪い場合は内視鏡手術を行うこともあります。

こんなふうにお話しすると、顎関節症の治療って難しいものになるとご心配になる方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、多くの場合は、内服薬による痛みのコントロールや開口ストレッチ、筋肉マッサージ、マウスピースの使用などが中心になります。どうしても痛みがコントロールできない、改善が見られないときは口腔外科やかみ合わせを専門としている歯科医院への受診をおすすめしています。



痛みのないほとんどの方はそのまま様子をみてもらって問題ありません。また、痛みなどの症状が出ても約7割の方は1年以内に症状が軽減します。顎関節症による不快感や不自由さは、時間が経つにつれてあまり感じなくなることが多いのです。

痛みが出て1週間ほど様子をみても症状が軽くならなかったり、悪くなってきたりするようなら、歯科医院で相談していただければと思います。